社会人は図書館で勉強しよう【図書館合宿のすすめ】

転職したいサラリーマン 人生

みなさんは社会人になってから、本を開いて勉強したり、文献を調査したり、文章を書いたりといった「知的な生産作業」をすることってありますか?

資格の勉強、小説を書く、会社のレポート作成、ブログ、ライター業務など、意外に社会人になってからも知的生産の機会は多いと思います。ところが社会人になると、勉強する場所の確保が難しいと思いませんか?

いざ勉強しようと思っても、テレビ、漫画、ゲーム、布団といった誘惑が家の中にはたくさんありますよね。わたしの場合、ベッドがあるとすぐにゴロンと横になってしまう癖があるので、家にいると全然勉強が進みません。

今回の記事では、ワーキングスペースとしての「図書館」を考えてみたいと思います。

図書館はセカンドオフィスとして使える

図書館は学生や子どもだけのものではありません。社会人こそ、図書館をガンガン活用しましょう。

図書館の空気感が集中力を生む

図書館には役立つ資料がたくさん

図書館にあるのは「静謐な空気」です。

図書館にいれば、電話もかかってきませんし、テレビの誘惑もありません。突然お客さんが来ることもないですし、ベッドもないので横になることもできません。したがって、目の前の作業に集中するしかありません。

図書館には意識の集中をさまたげるものが一切ありませんから、わたしのように意志の弱い人間にはぴったりな環境です。図書館という誘惑のない空間に行くことで、逃げ場のない集中合宿をすることができるのです。

しかも参考資料はすでに置いてありますから、作業道具はパソコンだけでOKです。重い荷物を持っていく必要がないのです。

わたしにとって図書館は、身軽に行ける週末の修練場です。

膨大な資料を活用しよう

情報を集めよう

充実した資料が図書館の強みです。調査研究、ブログ、小説、新しいアイデアの発見、といった創作系の作業にはめっぽう役立ちます。

図書館には膨大な知識が集積されているので、必ず自分に役立つ情報が見つかるはずです。

大量の資料を本棚から引っ張り出してきて、同時並行で複数の書籍を読みさばいていけば、情報を重層的に網羅・把握することが可能です。

必要なところだけをピックアップして読んでいくのもいいですし、一冊一冊をじっくりと読み進めていくのも良いでしょう。

学術書などは高価なので、購入するのはためらわれます。しかし、図書館であれば、お金の心配はいりません。どんな書籍でも完全無料で閲覧できます。

参考になりそうな本を見つけたら、とりあえず本棚から引っ張り出して、自分の席に持っていきましょう。

図書館はビジネスに役立つ

図書館でレポート作成

たとえば「上司から運輸業界についてレポートをまとめてほしい」と依頼されたケースを考えてみましょう。

インターネットで検索すれば、運輸業界についてピンポイントで知ることが可能です。便利な反面、インターネットでの検索は、どうしても狭い領域での知識しか得られません。

一方、図書館に行けば「運輸業界の統計」「運輸業界の歴史」「海外の運輸業界の比較」「江戸時代の運輸」「運輸業界と行政法の関係」「運輸業界と広告宣伝の関係」など、広範な知識を一覧することができます。

インターネット検索は便利ですが、体系的な知識を把握するには、ちょっと不便です。図書館に行けば、物事の体系的な「いろは」を一気に把握することが可能なのです。

幅広い情報に当たれば、説得力のあるレポートが書くことができます。また、インターネット上の情報に比べて、一般に流通している書籍には編集という過程があるため、情報の信頼性は高くなります。

ビジネスに役立つ情報の例
●新規事業の立ち上げ
●特定の企業、業界の動向
●特定の財務データ
●SNSの効果的な活用方法
●マーケティングの事例
●各種白書、統計
●スキルアップ・資格取得に関する情報
●転職に必要な専門的な情報
このようにビジネスシーンでも活かすことのできる情報がたくさん用意されています。

ビジネス上の課題は、何から手を付けて良いのかわからないといったケースも多いですよね。そんなときは、まず図書館に駆け込んでみましょう。かならずヒントが見つかるはずです。

ビジネスだけじゃない! 法律も病気も調べられる

図書館の様子

図書館で得られるのは、ビジネス情報だけではありません。病気や法律といったデリケートな問題も、図書館なら確実な情報が得られます。

「仕事が忙しくて体を壊した」「高齢の父親が病気になった」「○○という診断をされたが、不安でたまらない」「恋人が病気になった」など、日常のなかで、病気について気になるシーンは多いです。

気になる病気があれば、まずインターネットで調べることと思いますが、検索でヒットする情報には限りがあります。情報が細切れでよくわからない、サイトごとに違うことが書いてある、といった経験はありませんか?

病気についての情報は、生命に関わることですから間違いが許されません。それにもかかわらず、インターネットに転がっている情報には、信用できないものが多いものです。

法律の問題も同様です。裁判の判例や示談の事例など、間違いが許されない情報は必ず図書館で専門書を読むべきです。

図書館によって差はありますが、医学書や法律書などの一通りの専門書が揃っています。例えば『くすりの事典』『家庭の医学』などは、必要な情報がきれいにまとまっていますので、手軽にセカンドオピニオンのように使うことが可能です。

ただし、図書館は医療機関でも司法機関でもありません。病気の診断、医療上の相談やアドバイス、薬の判定などには応じてくれません。弁護士が常在しているわけわけでもありませんので、法律の相談もできません。あくまで資料を提供するだけです。

病気や法律に関する情報は正確性が欠かせません。インターネット検索ばかりに頼るのではなく、信頼できる専門書を併用して、正しい情報を集めましょう。

▼健康は大事にしたいですよね。

図書館のレファレンスサービスがすごい

聞きなれない言葉かもしれませんが、「レファレンス」とは「参照」という意味です。これは図書館の職員さん(司書)が担当している重要な仕事です。

レファレンスを一言で表現するならば、「調べ物のサポート」です。

具体的には、「○○という情報が欲しいので、参考になる資料を教えてほしい。」「○○に関する白書を紹介してほしい。」「○○についての統計が知りたい。」「昔読んだ本のタイトルを忘れてしまった。タイトルを教えてほしい。」など、あらゆる調べ物をお手伝いしてくれます。

このレファレンスサービスは完全に無料です。原則として、どのような調べものでも対応してくれます。

図書館職員は情報のプロ

レファレンスは気軽に利用しよう

ピンと来ないかもしれませんが、図書館の職員は情報のプロです。あなたの近所の図書館にも、レファレンスカウンターというコーナーがあるはずです。

そこで「○○について、調べたい」と相談してみてください。

きっと職員の方の顔つきが真剣になるはずです。レファレンスという業務は、図書館職員としてのやりがいであり、腕の見せどころであり、職人芸です。

優秀な職員であれば、単に書籍を提示するだけでなく、関連するデータベースを教えてくれたり、懇切丁寧に資料の探し方などについてアドバイスをくれるはずです。

過去のレファレンス事例がすごい

過去のレファレンスの事例は、レファレンス共同データベースに蓄積されており、Web上で誰でも参照することができます。(http://crd.ndl.go.jp/reference/)

実際に寄せられたレファレンスの事例を見てみましょう。

下記のリンク先には、図書館からの回答が載っていますので、ぜひ読んでみてください。膨大な数の文献を調査・参照して回答してくれていることがわかります。

これが図書館職員の本気なのです。

心が変われば行動が変わる 行動が変われば習慣が変わる 習慣が変われば人格が変わる 人格が変われば運命が変わる」は、松井秀喜選手の座右の銘であるが、もともとウィリアム・ジェイムズ(心理学者、哲学者)の言葉らしい。出典を知りたい。

(http://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000071866)

カステラはポルトガルから長崎に伝来したと言われるが、どのようにして入ってきて、どのようにして作られているのか、家庭では簡単にできるのかカステラの作り方を教えてください。
(http://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&lsmp=1&rnk=1&mcmd=25&st=ref_cnt_all&asc=desc&pg=2&id=1000077165)

土日祝日などいわゆる休日に仕事が休みの人と、そうでない人の割合はどのくらいか。

(http://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&lsmp=1&rnk=1&mcmd=25&st=ref_cnt_all&asc=desc&pg=2&id=1000068491)

レファレンスの依頼は難しくない

レファレンスは聞きなれない言葉ですし、実際に利用したことがある人は少ないと思いますが、カウンターに行き「レファレンスをお願いします。」「○○について調べているので、手伝ってほしい。」とお願いするだけです。難しいことは何一つありません。

抽象的な依頼になっても問題ありません。情報の探し方を教えてもらうだけでも、価値があります。膨大な情報の中から、必要な事実を探し出すというのは、なかなか骨の折れる作業ですから、どんどんレファレンスを利用してください。

正確な情報が欲しいとき、必要な情報の調べ方がわからないときなど、特におすすめです。

オンラインデータベースが使える図書館もある

データベースを利用しよう
図書館によっては、オンラインデータベースを提供しています。

個人契約するとお金がかかりますが、図書館なら無料で利用できます。

日経新聞の過去から現在までの情報を網羅した「日経テレコン21」などを提供している図書館はかなり多いです。読売新聞、毎日新聞、産経新聞等のデータベースも同様に提供している図書館は多いので、チェックしてみましょう。

また、法令・判例、科学論文、学術雑誌、官報、辞書等のデータベースを提供しているところもあります。

図書館に行く前に気をつけること

図書館は非常に便利な場所ですが、気をつけるべきこともあります。

席が空いていないことがある

休日に図書館に行くと混んでいる場合が多いです。

特に小規模の図書館ですと、「満席で座る場所がなかった。仕方ないから帰ってきた。」ということもあり得ます。こうなると最悪です。

集中して作業するぞ! と意気込んで行ったのに席が空いてないとなるとショックは相当なものです。どうしても席を確保したい場合は、朝早く行くようにするなど、利用する時間帯には気をつけましょう。

作業環境が快適かチェックしよう

ノートパソコン

古い図書館ですと、机がボロボロ、椅子の座り心地が最悪といったことがあります。隣の人との距離、机の広さ、個人席は充実しているかといった点も重要なポイントです。

机上のコンセントの有無、無線LANの有無なども、事前にウェブサイトでチェックしておきましょう。

図書館内は原則として飲食禁止ですが、ペットボトルなどの飲み物はOKとしている図書館もありますので、こちらも確認しておくと良いでしょう。

音が気になることがある

居眠り少女

図書館は子供からお年寄りまで、幅広い年代の方が利用できる場所です。無料の公共施設ですから、いろんな人が集まります。

元気な子どもたちの声がガヤガヤと聞こえてくるのは仕方のないことですが、集中しているときは、やっぱり気になります。イヤホンなどで対策しましょう。

そのほかにも、ずっと咳き込んでいる人、ずっといびきをかいて眠っている人、ぺちゃくちゃお喋りしているカップルがいたりします。その点は覚悟の上で行きましょう。どうしても気になるときは、職員から注意してもらうとよいと思います。

千代田図書館は社会人が利用しやすい図書館

千代田図書館が入る千代田区役所

↑ビルの9階のフロアに図書館が入っています。

九段下駅から徒歩5分の「千代田区立千代田図書館」は、社会人におすすめです。平日は22時まで開館しているので仕事帰りにも利用できます。

快適なので、ぜひ使ってみてください。千代田図書館に行けば、自然と気分が引き締まるということを身をもって体感できると思います。

●コンセプトは「あなたのセカンドオフィスに。もうひとつの書斎に。」
●平日10時〜22時まで開館
●無線LAN完備
(面倒な登録作業は不要。館内に掲示してあるパスワードを入力すれば、すぐにインターネットに繋がります。)
●ビジネス用の書籍コーナーがかなり充実している
●一般閲覧席223席
(うち61席に有線LANコネクタと電源コンセント配備。隣の席との簡易的な仕切りがついている席もある)
●オンラインデータベースが利用できる(利用できるオンラインデータベースの一覧
●アクセスが良い(九段下駅徒歩5分)
●トイレがきれい

千代田図書館 千代田図書館

出典:千代田区立千代田図書館

千代田区役所の庁舎ビルに入っているため、清潔感があります。夜遅くまで開館しているので、仕事帰りのビジネスマンや学生が作業しているのが最大の特徴ですね。

館内は広いのでそれほど心配しなくてもいいと思いますが、人気スポットなので時間帯によっては空席を探すのに苦労するかもしれません。

千代田図書館 | 千代田区立図書館
千代田図書館の公式ページ。図書フロア、イベント・展示に関する情報をご案内しております。

千代田図書館は九段下駅の近くにある

千代田図書館は、九段下駅のすぐ近くにあります。ビルの中には食堂やパン屋さんも入っているので、食事には困りません。付近にはコンビニもたくさんあります。

大学図書館もおすすめ

早稲田大学中央図書館

東京藝術大学付属図書館、嘉悦大学図書館など、申請すれば一般人でも利用できる大学図書館は一定数存在します。近所に大学図書館がある場合はチェックしてみると良いでしょう。

ただし、一般利用の場合、自習や座席のみの利用を禁止している大学が多いです。事前にウェブサイトで確認するか、問い合わせをしてください。

また、一般利用については、条件や制約を設けている大学がほとんどです。レファレンスサービスや無線LANなどは、基本的に学外者は利用できないと考えておいたほうが良いでしょう。

多くの大学では卒業生の図書館利用を可能としています。まずは母校の図書館を利用してみるのが、無難だと思います。

大学図書館は静かである

大学図書館は誰でも自由に入れる場所ではありません。原則として「大学の学生、教職員、関係者」などしか入館できません。

このためマナーの悪い人間が少ないのが特徴です。

席数も充分に確保されているため、空席がないということはまずあり得ません。また、設備も整っているため居心地が良いです。一般利用の制約は多いですが、集中する環境としては申し分ないです。

専門書が充実している

本の品揃えも公立図書館とは異なります。娯楽書や大衆雑誌などは少ないですが、専門書や学術書は、公立図書館の比になりません。

学生の邪魔をしないようにしましょう

大学図書館はあくまで学生の学修の場所です。マナーを守って、学生の邪魔にならないようにしましょう。(定期試験期間などは、一般利用を禁止している大学もあります。)

図書館には魅力がいっぱい

今回は、図書館の魅力を考えてみました。

繰り返しになりますが、図書館の強みは「強制的にやる気を出してくれる」という点に尽きると思います。

作業が全然進まない、やる気が出ない、そういったときは図書館に足を運んでみてください。人間は誘惑に弱いものです。何もない静謐な環境に身をおくことで、意欲が湧いてくるのです。

さあ「週末一人旅」ならぬ「週末一人図書館合宿」を始めましょう。

図書館情報学を学ぼう

図書館について、もっと知りたいという方は「司書」の資格をとってみるのもいいでしょう。司書資格は近畿大学や八重洲学園大学などが展開している通信教育で取得することができます。

学費は30万円程度、1年間もあれば取得可能です。大幅なスキルアップにつながる即効性のある資格ではありませんが、教養や見識を深めるためには、司書は非常に良い資格だと思います。

情報の扱い方、図書館の運営方法、図書館の経営、図書館の歴史、図書館の意義など、一気に勉強することが出来ますので、ぜひ司書を目指してみてください。

カリキュラム | 図書館司書コース | 近畿大学通信教育部
近畿大学通信教育部公式ウェブサイト。学部・コース案内、科目等履修生、図書館司書コース、カリキュラムに関する情報をご覧頂けます。
【最短半年】で図書館司書資格取得|通信制の八洲学園大学
【最短半年】【在宅学習】で働きながら・家事育児をしながら資格取得が可能な通信制大学。【就職支援】も展開し全国で100名以上が図書館司書に就職・転職しています。10代から80代まで幅広い年代の方が学習しています。

図書館情報学を学べる社会人向け大学院もある

より専門的に図書館学・情報学を学びたいという社会人の方は、大学院に通うのも良いでしょう。

「図書館情報学」という学問を扱っている大学は、全国にあります。

図書館史、情報の収集・格納・解析、データベース、生涯教育、メディア、社会調査、公教育、キャリア教育、リカレント教育、データ工学、機械学習、学校図書館など、図書館情報学は幅広い領域に及びます。

筑波大学、同志社大学、東京大学、慶應義塾大学などで図書館情報学が学べます。

例えば、筑波大学などは、社会人向けの修士課程メニューを用意しています。都内の文京区のサテライトキャンパスの夜間開講と土曜開講の授業のみで修了することができ、修士(図書館情報学)を得られます。働くサラリーマンに優しい取り組みですね。

図書館情報学キャリアアッププログラム

本プログラムは、21世紀の情報通信技術の進展にも対応できる図書館情報学分野の専門職の育成をめざして、わが国の図書館情報学関連分野の現職者を対象に、その専門的知識や技術の高度化をめざしたキャリアアップ教育を提供します。具体的には、図書館や文書館、企業・機関の情報提供部門など、情報の管理・提供サービス機関・組織に勤務している人を対象に、知識・情報を分析、加工、表現、伝達、提供、利用するための高度な知識・技術を身につけ、実務経験を生かした問題意識を研究課題の設定と課題解決に反映させることのできる実践的研究を行う高度専門職業人の養成をめざしています。

平成26年度から「教育訓練給付制度」(厚生労働省「教育訓練給付制度」を参照)の指定講座となりました。条件を満足すれば、受講生本人が支払った教育訓練経費の20%に相当する額(10万円が上限)が雇用保険から給付されます。

筑波大学【図書館情報学キャリアアッププログラム】

働きながらでも、実務に役立つ実践的なスキルを修得することが可能です。キャリアアップと学位取得がコンセプトになっていますので、「図書館」「情報学」に関心がある社会人の方は、チェックしてみましょう。ニッチな学問領域ですから、ゆくゆくは研究者の道も見えてくるかもしれません。